【 17年度 】
勉強会 税と国家について考える2
新年賀詞交歓会
クリスマスパーティ
税務懇談会
勉強会 税を知る・税を考える
ゴルフ交流会
ゴルフコンペ
管外一泊研修
新署長インタビュー
第34回 通常総会
懇親会



 平成17年11月2日、泉ガーデンコンファレンスセンターにて吉田寛先生をお招きし「税と国家を考える」の第1弾として「税を知る・税を考える」と題し講演をいただきました。
吉田寛 氏 Home Page
 吉田先生は、公認会計士であり公会計研究所代表、千葉商科大学大学院教授、日本税制改革協議会「納税の日」策定委員長でもあります。
 今回は、第1部で税についての成り立ちと諸制度、諸外国と比較してこの国に相応しい税とはどうあるべきかについて講演をいただき、第2部で対話方式によるテーブルディスカッションにて様々なお考えをサンエーメンバーの質問を交えながら行った。

私たちに税は見えているか
 私たち国民は、日本国憲法に「国民主権」とうたわれる主権者です。国民・市民に使われる民という字は、もともと奴隷の意味でした。昔、中国では奴隷の片目をつぶしました。その様子が今の「民」という字のルーツです。今でこそ私たちの目はつぶされることはありません。
 しかし、「見えない状態にある」のは、昔の奴隷と同じかもしれません。見えなくする方法は、たくさんあります。為政者の良い・悪いが見えなければ合理的な判断はできないし、為政者のなすがままです。

「この人でいいのか」
 モンテスキューは統治制度を次のように分けました。
専制君主制では、ただ一人が勝手に法を作ったり取り消したりすることができます。
・そのような専制君主の権力の濫用を制限するために憲法が作られたのが、立憲君主制です。
民主制は人民が全体として権力を持つものです。
 民主制は「自分のことは自分でする」ことが基本です。自分のことを自分でできないならばできる人を見つけて任せるのです。安心して任せられる人を見つけ出すことが大切です。
 フランス革命の時の人権宣言に記された言葉に、「税金の徴収と使途には我々主権者の同意が必要である」というのがあります。民主制の基本です。人権宣言の前文には「大事なことを我々はすぐ忘れる。忘れないように、ここに明記する」とも書かれています。面白いですね。

我々の承諾が必要だ。
 なぜ、我々が税金を払うのか、改めて考えて見ましょう。
税に関するどんな教科書にも載っているその理由は、
1.義務説(憲法にもそのように明記されています)
2.交換説(サービスを受けている代価)
3.公需説(公が必要だというから)
です。しかし、「我々が同意するから払うのだ」という記述がありません。民主主義の基本なのに・・・。人権宣言を起案した人々が心配していたとおり、忘れられてしまったのが承諾説です。

税金の使われ方を評価
 私たちが税を払うためには、払うだけ価値のある税なのかについて検討を加えなければなりません。そのためにはまず、
・均衡財政を維持できたかどうか? 借金せずにやっていけたか?
を確認します。均衡財政を損なうと、意思表示をする機会のない子供達にツケをまわすことになります。
そして税を使うことで
・国民を不幸にしていないか? 損失を与えていないか?
・承認できるような税の使い方をしたか?
 をチェックをします。
皆さんの考えを元に、皆さんの意思を皆さんに代わって議論する人(代議士)あるいは行政責任者を選び、その業績を評価してください。私たちは劇場の客席で劇を見ている観客ではありません。議員や首長を審判する審判席にいる審判なのです。
(吉田 寛)

 第1部は、要約すると以上のような講演内容でした。続いて第2部では、テーブルディスカッションが行われた。サンエーメンバーからの質問を中心に活発な意見の交換がかわされた。質問内容は、「相続税の必要性」「税の使途を指定したい」「税の使い道を明らかにしたい」等であった。そして我々は、それらに対してどんな行動が出来るのか? それに対する吉田先生の答えは「税の適正な使い道等を我々主権者が任せている人(代議士)に発言をすることであり、選挙で意思表示をすることである。」であった。
 自画自賛になるが、まさに麻布法人会サンエー・クラブにふさわしい、税についての基本的な知識を得ることができた勉強会であった。  
(事業委員会)