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「真相無我 管外一泊研修を通じて」
平成17年度管外一泊研修が、6月26日、曹洞宗大雄山最乗寺にて行われた。今回の研修テーマは、「良き経営者、リーダーを育てていく上で禅を通して経営と人間のあり方について考える」で、600年続く同寺において、法話、座禅そして境内散策を体験する内容であった。
精進料理による昼食、そして境内散策を経て、法話を拝聴し、座禅の目的を伺った。人生には、自分の思いどおりに事が進まず、それにより見方や感じ方がぶつかりあうことが多々あるものである。本来人の体は、思いや考えを離れた活動体であるのだが、自分の思いが体に無理な負担をかけてしまう。そういう場合、悩み事を起こした原因は自我観にある。この自我観を捨てるために座禅を行うのである。
自我観、すなわち自分の考え方を無くすることについて、自分が無くなってしまう不安を持つかもしれない。しかし人の体は、自分の思いから離れており、自分や他人を分け隔てない存在でなければならない。これを妨げているものが自我観であるというわけだ。座禅を行い、自分の真相無我を知る。この真相とは無我であり、座禅は真相無我に徹する姿なのである。真相無我により、それまで一番役に立たないと思われた道が、一番役に立つ方法と考えられるようになり、これは経営者として生き方、考え方の重要な座標軸になるのかもしれない。
法話を終え、私達は本堂の大広間にて座禅を体験した。静寂の中で各自真相無我に徹する。平和で豊かな時代にあっても、人は心の拠り所を求める。座禅を行い、悩みや苦しみから解放される。私自身も、何かから解き放たれた感がした。
今回の研修を、ここに全て収めることは出来ないであろう。しかし、ある一つの思いに囚われ、その思いどおりに動こうとすることが、自分自身を見る目を曇らせ、争いや破滅の原因となるのであることを肝に命じて生きて行きたいと痛感した。 |
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