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平成18年7月12日、泉ガーデンコンファレンスセンターにて(株)伊勢丹 MD統括部インターナショナル商品担当 兼藤 映(かねふじえい)氏をお招きし「経営者・リーダーとファッションについて」と題し勉強会を行った。
伊勢丹がメンズ館をリニューアルし成功した事例の解説とその背景にある戦略やマーケティング、あるいはファッションを通した様々な視点のお話をお聞きした。会社経営者・リーダーとして、ファッションを見直すいい機会となった。 |
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3年前、伊勢丹はメンズ館をリニューアルした。ここ2〜3年で、男性がファッションに目覚め、自分を格好よく見せることに意識を持ち始めている。
伊勢丹がメンズをクローズアップした背景は、男性特有の購買特性である「こだわり」という意識に、まだまだ潜在ニーズがあるという考えであった。この「こだわり」をキーワードに、今回メンズの化粧品(香水、ひげそり、洗顔、化粧水、整髪)やアンチエイジング(抗老化)など、今までなかった新たな商品を取り入れた。男性も女性同様、家族や職場の同僚に評判が良いと、手入れを止めることはないということが今回分かった。
アクセサリーについても、休日にネックレスをつけるといったことが年齢を問わず増えている。これらの傾向は、決して若い年代に限定されたものではなく、「おじさん」世代にも共通している。
メンズ館では男性がこだわりやすい靴や雑貨、ブランド物を取り揃えたことが成功の顕著な例となっている。メンズコスメは様々なニーズに応えられるよう世界各地から輸入しており、リピーターが多い。靴においては、スーツに10万円出しても靴に10万円出す人はこれまであまりいなかったが、手入れをすれば一生使えるためか、現在10万円以上の高級靴がよく売れている。 |
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男性は誰しも、「格好良く見せたい」「もてたい」と考えている。そのための1つのツールとして身につけるものにこだわり始めている。今後は、1つのブランドや流行に一斉に走るということはないと思われる。自分に似合ったスタイルを見つける時代である。
昨年からクールビズがキーワードとなり、大きな転機となった。スーツはごまかしが利く服であり楽だったが、ネクタイを外してシャツ自体が見えるようになり、ジャケットを脱いでベルトが見えた時、男性自身の「気付き」があった。その結果オフィスでのスタイルもかなり多様化してきた。
女性の場合は流行を追った1年限りの購買傾向もあるが、男性の場合は自分の好み、スタイル、洋服の定番を意識している。男性には何かしらこだわるものが多く、頑固で掘り下げる傾向がある。たとえば料理をすれば道具、煙草を吸う人のライター、万年筆、時計など・・・。
一旦始まると知識が深まり、加速度的にワードローブが増えていく傾向がある。メンズは定番商品が長期間あるのでこだわりやすい。男性の購買心理では、ブランド、着心地、安心感、有名ブランドでなくとも手仕事の良いものなどの優先順位が人によって異なる。 |
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服装には、できれば守っていただきたいルールがある。例えば靴とベルトの色を合わせること、靴下の色・長さも大切である。仕事のリズムによっても、頭をリラックスしたい日と大切なプレゼンがある日、接客の日を使い分ける。クールビズであっても、大切な商談の日は、きちんとしたダークスーツ、リラックスする日はTシャツでも良いかもしれない。
匂いや髭の手入れなど、トータルな身だしなみも発生する。少しでも関心を持っていただき、自分自身を磨き上げることが大切だ。
リーダーの方には格好良くあっていただきたい。ビジネスマンとしてのルールを体現すれば、新入社員の手本となり、会社自体が格好良い、モテル会社になるのではないか。
洋服でカバーできる魅力は、全体の2割程度だが、自己表現として、流行にとらわれず、自分のスタイルを追求していただきたい。
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