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 2009年度6月勉強会は、衆議院選挙などでの舞台裏現場で政治記者歴37年の時事通信社取締役の泉宏先生をお招きし「これからの日本の政治〜2009年政治決戦の舞台裏〜」をテーマにご講演いただきました。今、最も関心の高い選挙情勢等、普段メディアからは得られない日本の政治の裏話をわかりやすくご講演いただきました。
以下、要点をかいつまんで報告いたします。

・次期衆院選では民主党が第一党となる確率が高い
 自民は215とれば自公政権維持、民主は225議席以上でないと不安定政権
  選挙情勢=衆院過半数241議席

  与党 自民 205 (選挙区 145 、比例  60 )
    公明 28 (選挙区 6   22 )
    小計 233          
    民主 217 (選挙区 137   80 )
    共産 10 (選挙区 0   10 )
    社民 7 (選挙区 2   5 )
    国民新 4 (選挙区 2   2 )
    新党大地 1 (選挙区 0   1 )
    無所属等 8 (選挙区 8   0 )
    小計 247          
無所属(有力)=中村喜四郎、渡辺嘉美、江田憲司、田中真紀子、城内実、
平沼赳夫、橋本大二郎、川村秀三=8人(民主寄り5人)

 民主党が勝利を収めるにしても 決してその政策が国民に評価されて支持を広げ ているわけではない。単に反自民票が流れているだけである。選挙の結果について は自民党は参院を野党に押さえられている以上、衆院で大負けをすると、たとえ政 権をギリギリ維持できたとしても“3分の2”を使った再議決ができなくなり、国会 運営ができなくなる。一本も法案が通らなくなる。一方、民主党は勝っても単独過 半数に届かなければ社民・共産両党と協力が必要であるが「反自民」だけで連携し てきた以前と違い、いざ国の政策で協力をするとなるとそれは難しい。結局どちら が勝っても政界再編をするしかない。

・政治は国民の目線で
 もはや政権がもたない。政権交代の時が近づいている。決断できない、すぐに流 される首相の危機管理体制の無さが要因である。政治の劣化は政治家の劣化でもあ る。一人ひとりの議員が、群れないで国民本位の政策を真摯に訴えれば、心に響き、 ボロ負けはしないはず。自分の欲を捨て、公に奉仕しているという国会議員の原点 を見つめることが大切である。政党、政局、選挙目線の政策・言動ばかりが目につ く。政党は常に国民・有権者の目線で政策を考え、提案し、実現していくべきであ る。 

・民主党中心の連立政権が抱える問題点
 民主党中心の連立政権が抱える構造的問題が最もはっきり現われるのが外交・安 全保障の分野である。社民党と連立を組むことが前提なのに一部で党内に保守派を 抱えている。「主体的外交の確立」「米国との対等な真の同盟関係」などと言うが具 体的な政策については見えてこない。むしろ民主党中心の政権になることで米国と の関係が崩れる懸念さえある。
 民主党が掲げる政策の中で国民の目を惹くもののひとつが「高速道路の無料化」 という単純明快な政策である。講演後の質疑応答にも挙がったが麻生政権下で「E TC搭載のマイカーは土日・祝日限定で高速1,000円乗り放題」は実施された が今後無料化となれば「ETC車載器」は不要となる。通行料金割引が実施される 前後から車載器を買い求めるドライバーが自動車用品店に殺到し、品薄状態が続い た。やっとの思いで手に入れたものが“ゴミ”となってしまう可能性もある。現実、 自動車用品店では 販売を控えてきているところもあるという。

・最近の世論調査と今後の課題  
 内閣支持率・政党支持率について世論調査によると内閣支持率は3月以降回復傾 向があったが6月の調査ではストップし前月よりも減少した。首相にふさわしい政 治家でも鳩山由紀夫民主党代表が麻生首相を上回った。不支持の理由は「期待が持 てない」「リーダーシップがない」が過半数以上となる。政党支持率のポイントでも 自民党は減少傾向、民主党が増加傾向で、望ましい政権枠組みも「自民、民主の大 連立」「自公連立」「自民単独」と自民党主導がポイントを下げるなか、「民主中軸の 非自民連立」、「民主単独」の民主主導のポイントは上昇している。

 与野党ともあいかわらず足の引っ張り合いが続いている。与野党ともスピーデー に対策案を討論し現実化していくのが本来の政治である。われわれ有権者であ る国民も政治家任せにするのではなく、今こそ国民一人ひとりが政治を動かすと いう意識を持ち、積極的に政治に参加してゆかなければならない。

 その後質疑応答に移り、活発な質問が多数出されました。次期衆議院選挙への関心の高さ、不安、迷い等がうかがわれ、有意義な勉強会となりました。

(広報委員会 山田 毅)